オカヤドカリは、その名の通り陸上(オカ)で生活するヤドカリです。 そもそもは海でくらしていましたが天敵から逃れるなどの理由で陸(オカ)へと進出してきました。 体のつくりも陸上生活に適応していて、海にすむヤドカリと同じようにエラをもってはいますが、おもに腹部で皮膚呼吸しています。 また、体の乾燥を防ぐために貝殻の中に少量の水を蓄えています。陸で暮らすようになった今も、貝殻の中に小さな海を隠し持っているようです。 おかやどかりが、天然記念物の指定を受けたのは昭和45年(1970)小笠原諸島でのこですが、全国的に見れば貴重なおかやどかりも、 地元の人にとってごく普通の、ありふれた生物に過ぎなかったらしいです。魚を釣る際の餌として大量に採取していたそうです。 昭和47年(1972)沖縄県が本土復帰を果たして、沖縄の人たちはオカヤドカリが天然記念物に指定されていることを知り、驚きあわてました。 というのも、それまでこの天然記念物を釣り餌として利用するばかりでなく、ペット用として大規模に販売していたからです。 これは立派な産業だったようです。 今も沖縄県では、時期と量を限定しつつも採取が認められています。 おかやどかりは飼育が認められている天然記念物なのです。 身近で天然記念物を観察できるわけですから最後まで大事にお付き合しましょう。 おかやどかりの寿命は20年から30年と言われています。 家庭環境でも大事に飼育すれば長く生きることがわかっています。 おかやどかりの神秘的な、そしてユーモアのある行動を見ていると、とても心が癒されます。 |
オカヤドカリの飼育方法
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○オカヤドカリを飼育するために用意する物○
☆オカヤドカリの飼育ケース a.大きさ:オカヤドカリの大きさやレイアウトにより変わりますが出来るだけ広いものを用意してあげてください。
参考として水槽20×20cmサイズでの飼育数(こちらはあくまで目安ですのでスペースにはゆとりを持ってください)
おかやどかりSSサイズ(1,5cm位):〜10匹
おかやどかり Sサイズ(2,5cm位):〜 5匹
おかやどかり Mサイズ(4,0cm位):〜 3匹
おかやどかり Lサイズ(5,5cm位): 1匹
おかやどかりLLサイズ(7,0cm位):20×20cmサイズ以上の水槽をおすすめします
b.素 材:プラスチックケース、ガラス水槽などで大丈夫ですがフタが付いている物が便利です。
(オカヤドカリの脱走防止、湿度管理がしやすいから)
c.形 状:角型でも丸型でも大丈夫ですが脱走しにくく水のみ場や隠れ場所が確保できて湿度管理が出来るもの。
(丸型は冬場にヒーター使用した場合、ヒーターとの接触面が少ないため効率が悪くなるため工夫が必要です)
★オカヤドカリの敷き砂 オカヤドカリの生息している場所が産卵の関係から海岸線の防風林、草むら、アダンの木、岩場、マングローブで、
土やサンゴ砂のある場所です。一般的にはサンゴ砂を使用しています。
a.量:オカヤドカリ(貝殻を含めた大きさ)の2〜3倍。(砂に潜って脱皮をするケースが多いため)
b.大きさ:ゴマ粒ぐらいがいいと思います。
c.洗う時期:飼育しているオカヤドカリの数や大きさにもよりますが夏場は細菌の繁殖などを考えると
まめに洗ってあげましょう目安は2週間〜1ヶ月に1度くらいです。
d.乾燥:砂が細かいため洗った後、シーツなど布で良く絞り天日干して殺菌してください。
e.状態:ドライ派とウエット派の意見は分かれますが水辺を多くしていればドライの方でもいいと思います。
☆オカヤドカリの水、水のみ場 a.飲み水:水道水にはオカヤドカリに有害なカルキ(塩素)が入っています。
また水道水に含まれる重金属類(銅・鉛・亜鉛など)はデリケートなオカヤドカリの
エラや体表を痛めたり体調不良の原因になりますので直接与えないでください。
ミネラル水、浄水器の水はそのままお使いいただけます。
水道水を与える場合は熱帯魚で使用する調整剤
(テトラコントラコロライン、テトラアクアセイフ)などで無害化、中和してご使用ください。
真水以外に海水もしくは人工海水も与えましょう。
塩水は脱皮の失敗を軽減させる効果があるからです。
出来れば真水と海水の両方を用意して、オカヤドカリに選ばせてあげるのがいいでしょう。
b.水飲み場:オカヤドカリは力持ちですしっかりした器が必要です。
容器の深さは生体の大きさにあったものを選びましょう。
※深い容器を使用する際は生体を入れて登る事が出来ることを確認してから使用しましょう。
★オカヤドカリの食べ物 雑食なので基本的には何でも食べます。
市販のえさやポップコーン、パン、煮干、果物全般、人参、サツマイモ、魚、肉、ガジュマルなど色々です。
栄養を考えバランスよく与えましょう。
脱皮後の抜け殻も大事なカルシウム源となります。
取らずに食べ終わるまでそのままにしてあげてください。
※オカヤドカリなどの甲殻類は生物学的に昆虫に近いため虫除け効果のあるものは与えないでください。
☆オカヤドカリの着替えの貝殻 オカヤドカリは脱皮を繰り返し貝殻を変えながら成長しますのでいろんな貝殻を入れてあげましょう。
せっかく購入した貝殻に入らない場合、海水などにしばらく浸けると入りやすくなります。
オカヤドカリは環境にもよりますが急に大きくなる訳ではありませんので同等かちょと大き目が目安です。
★オカヤドカリのヒーター(冬場) オカヤドカリは亜熱帯域に近い場所で生息しています。
15度で動きが鈍くなり10度以下の時間が長いと死んでしまいます。
沖縄の環境を参考にして冬はゲージ内を暖めましょう、ヒーターもいろんなタイプが有ります。
パネルヒーター、フイルムヒーター、照射型ヒーター、その他、どのタイプも使用する際は
ゲージ内の温度湿度に注意しましょう。
※ゲージを全体暖めるのではなく一部にしましょう。オカヤドカリに適温の場所を選ばせましょう。
※ヒーターを使用した場合の乾燥には十分注意しましょう。
☆その他 おかやどかりはとても臆病な生き物です。
人影や動くものをみると貝に隠れてしまうほどですのでストレスを与えない工夫が必要です。
流木や岩場、シェルター、人工植物などで隠れる場所を多くしてあげましょう。
おかやどかりの生息地域は亜熱帯域と限定され温度や湿度などが影響していると思われます。
地域の違う場所で飼育するにはゲージ内を生息している気候に近い状況にしてあげる事が必要です。
室内で飼育する場合にどうしても人間の都合で冷房、暖房を使用して温度や湿度を調整してしまいます。
ゲージ内の温度、湿度を管理する上で温度計や湿度計があると便利です。